#dynamic_Nagasaki

長崎県をDynamic Nagasakiとして見つめ直します。現在おっさんがちゃんぽん食べ歩いています。乗り物、旅行、自転車、ジョギングも!

【「ちゃんぽん」とは】 その4 「皿うどん」は難しい 細麺か太麺か/餡掛けか焼きそばか

長崎皿うどんとは

皿うどんは太麺、細麺の違いはあるものの、焼きそばタイプか餡掛けタイプでもまた違いがある。なんとも捉え所がなく、注文時も「太麺ですかぁ、細麺ですかぁ」と忙しさを隠さないスタッフにぶっきらぼうに聞かれた日には、縮こまってしまいそうである。さらに畳み掛けるように「細麺がパリパリ麺の方ですぅ」と観光客向けの作り笑顔を見せてくださる。ありがたや、DJNのおばちゃん。。。

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第一回緊急事態宣言下のちゃんぽんストリート なかなか横着なおばちゃんの生息圏である

大抵、太麺は唐灰汁入りのちゃんぽん麺、細麺は揚げた細い唐灰汁麺を使用している。細麺は大抵が餡掛けタイプ、太麺はどちらもあり得るため、好みがあると難しい。太麺皿うどんの焼きそばタイプと、以前から情報収集している、拌麺の違いとなるとさらに難しく、何が定義なのかはまだ私はわからない。長崎県の麺文化は地域による特色はみられるものの、長崎市内となると、多彩なのではなく、それぞれの店舗が勝手気ままに多様性を生み出しており、捉え所がなく、これからも丹念に記載を続けていく必要があると思っている。拌麺には酢、皿うどんには金蝶ソースと相場も決まっている。

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「ちゃんぽん皿うどんの始祖」四海樓の説によれば、「炒肉絲麺」という料理をヒントにしているという。現在の大陸では、このような料理はなく、現在の肉絲炒麺であると考えられる。福建ではこのように呼んでいたのか、それとも開祖とされる陳平順の記憶違いだったのかは闇の中である。これは同様の現象が、ちゃんぽんでも起こっており、「湯肉絲麺」をルーツとするとしながら、現代の大陸ではこのように呼ばず、現在では肉絲湯麺と呼ばれているようである。中華料理の現在の呼び方は、1)入っている具材、2)調理法、3)炭水化物という語順でいうことが多く、清朝時代までのいい方なのか、福建の呼び名なのかを確かめるまでは誤りかどうかを断定することは困難である。香港でも、北京でも上海でも大抵はこの表記になっているようであるが、この辺りは福建まで出かけて行って、何が起こっているのか、調べてみる必要がありそうである。広い大陸でどうせ10人に聞いても正しい答えには行き着くことはなさそうであるが。。。

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 さて、炒肉絲麺ないし肉絲炒麺はどのような料理であろうかというと、大陸でも細切り豚肉と野菜と麺を炒めたような焼きそばをさす。これをちゃんぽんの具材に合わせて、調理し始めたのが始まりであろう。太麺皿うどんは、ちゃんぽん麺を使用し、始まった料理であることは想像することが容易である。細麺皿うどんの始まりに関しては、由来が不明である。四海樓のウェブサイトによると以下のように記載されているが、炒麺という調理法は、麺を炒めるのであり、揚げるということは大陸でも珍しく、太さによっても、炒麺、炸麺のように分かれていたようである。広東料理のかた焼きそばのようなものや伊府麺のようなものは揚げてあるのだが、やや異なるように思う。

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端正な紅灯記の皿うどん 麺はどちらかといえばカタ焼きそば風に揚げてあるのが好きである

また、極細の麺を油で揚げて上から同様の具にとろみをつけてかけた「炒麺(ちゃーめん)」があるが、皿うどんと混同されているようである。

福建ルーツといえば、マレーシアやシンガポールでみられるホッケンミー(福建麺)があるのだろうが、これともまた違った様相を呈しており、皿うどんのルーツは案外よくわからない。四海樓の説は、大抵「うちが元祖」となって商売しており、本当のところの文献的な考察には弱く、あまり信用するには足らない。

皿うどん研究家であるSalty Dog氏によると、みろくやの皿うどんによって長崎では細麺皿うどんが昭和40年代に広まったとする説を挙げている。それ以前のルーツとしては、北米の広東料理屋にそのルーツを求めており、状況証拠のみであるが、アメリカ生まれのChow Mienが長崎に流入する様を劇画調に描いている。華僑の人々の細かな動きが加わった考察には乏しく、四海樓がちゃんぽん皿うどんの全てのルーツとしてしまうには、どこか大陸的プロパガンダに乗っかっているようで後味がよろしくない。

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皿うどん巡りを始めるにあたって

ちゃんぽんの延長戦で、皿うどんをとりあげようかと思ったが、そもそも、皿うどんは以下の面から難しいのである。

  • 高カロリー
  • バリエーション(細麺/太麺、餡掛け風/焼きそば風、、、)
  • 砂糖がたっぷりで餡掛けが甘い

餡掛けの皿うどんは大抵砂糖が山のように入っており、細麺となると麺が揚っているのもあり、カロリーは一食で1000 kcalを超えるのが当たり前である。そもそも「ちゃんぽんが甘い」と言う事実が確認されている、ニューよこはまをはじめとした、長崎市の古典的ちゃんぽん食堂がいくつかある中で、皿うどんが甘いことは先に確認されていた(未発表の桃華園)。

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リポビタンDのボトル入りの金蝶ソース

金蝶ソースは大浦の黒田商店が開発した、元々は英国式のウースターソースであり、これが日本化されていく過程で、現在のように皿うどんに合わせて、中華料理と合わせてとなって行ったようである。

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ちゃんぽんストリートの北門 ここには昔は大きな暗渠上立体駐車場があったはずだ

皿うどんの議論に戻ると、そもそも、揚げ麺かどうかの議論の前に、餡掛けの餡が甘くて、それが嫌いと言う声も散見される。これを解消するために、解決にはならないのであるが、金蝶ソースをかけると、甘さが和らぎ、まろやかになると言うのが長崎市から大村あたりまでにかけてのグレーターDJNエリアの味覚センスである。これを実践するためには、リポビタンDのボトルにたっぷりと容れられた小分けの金蝶ソースが皿うどんの出前にもついてくるのである。誰に聞いても大抵リポビタンDのボトルに入ってきていたと言うが、この謂れも詳細はわからない。おそらくは、数が多く手に入るボトルが、小分けにして適量入るものが滋養強壮ドリンク用のボトルで、1962年発売のリポビタンDであっただけであろう。サンプル数は少ないが、長崎市戸町地区、長崎市中心部(旧市街地)、大村市で2箇所でこのボトルを使用していたというから、大方このボトルであったのだろう。

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このソースの文字の向こうは、、、

choko.co.jp

 「細麺か太麺か」問題

大抵は好みの問題である、太麺皿うどんか、細麺皿うどんかの問題もある。長崎市外に住む者たちは大抵、長崎の皿うどんは細麺こそが王道と思っているようで、細麺を揚げたパリパリとした食感がたまらなく好きという声は多い。大村近辺まで行くと、お祝い事での出前でよく見るのは細麺の皿うどんであった。元々を辿り、中華料理では麺を揚げる料理は多くを見ず、どこでこの細麺をあげる習慣が生まれたのかは未だにその説を見ない。唐灰汁入りの細麺を揚げると、小麦粉の香ばしい香りに唐灰汁の香りが混じり、また熱が加わることでよく噛めばモチモチとした食感となり、口に入れた際にはサクッとした食感で、この差異や香りが楽しめる。揚げたてのものを出すところはそうなく、自宅で自分でやるのが良いようである。

www.zuitaigou.com

一方の太麺皿うどんは大抵、唐灰汁入りのちゃんぽん麺を使用している。このちゃんぽん麺も、興味深いのは、火を通したり、表面をカリッと焼いたりすることで、スープで煮たのとは違った挙動を示す。唐灰汁や小麦の香りがより引き立ち、噛めば噛むほど食感がモチモチとした食感が増してくる。唐灰汁の香りはこちらの方がよくたつので、案外長崎市内では太麺のオーダーも多く見られるのである。

ちゃんぽんストリート(長崎中華街)の店ともなると、案外油がヘタっていて、前日に揚げた残りなどが出て、怪しい細麺皿うどんが提供されるため、慎重に店は選ばないと、胃もたれするようになる。毎日は食べるものではなく、何か思いついたときに食べるものとしておきたい。

太麺皿うどんの定義問題

バリエーションも豊かすぎて、太麺皿うどんの定義は未だに何を指すのかは理解に苦しむことが多い。太麺といっても、焼きちゃんぽん様の仕上がりであるか、大抵のように餡掛けの仕上がりであるかで、味も異なるものになる。これらの二つの違いを、焼きそば式、餡掛け式と分けて、当ブログでは記載していこうと考える。焼きそば式は、野菜などの具材を炒め、少しくちゃんぽん用のスープを加え、それらから出てきた汁で麺を煮、炒めて提供されることが多い。餡掛け式は麺は焼きで加熱し(心ない店では茹でるところもあるようだ)、細麺の皿うどんと同様の餡をかける。その店舗ごとのスキルの差が現れるため、特に断りがない限り、太麺皿うどんの方をメインで観察していきたいと思っている。

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灰褐色のちゃんぽん麺で作られた太麺皿うどん

終わりに

ちゃんぽん探訪に飽きたというわけでもなく、また付随させた新しい企画を始めることとする。題して「長崎(市)で皿うどんを巡る」とした。それぞれの番号はちゃんぽんの店舗の番号に準拠し、記載方法なども、過去の記事に出来る限り合わせていく方針である。また、新たな資料が見つかった場合にも、またこの項、「ちゃんぽん」とはで考察していきたいと思う。

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