#dynamic_Nagasaki

長崎県をDynamic Nagasakiとして見つめ直します。現在おっさんがちゃんぽん食べ歩いています。乗り物、旅行、自転車、ジョギングも!

「ながさき」というところ その2 長崎の臭い

どこの街にも臭いというものがあるだろう。長崎における臭いとはなんだろうかと考えてみると、大体以下のようなものが上がってくる。

 

唐灰汁

唐灰汁はちゃんぽんの麺に練り込まれている保存料であり調味料として働く電解質の結晶である。食品に鹹水と表記されることもあるが、長崎県内ではその後ろに(唐灰汁)、(とうあく)と付記されており、別のものとされる。鹹水には炭酸カリウムを主とするでが、唐灰汁にはこれに加えて炭酸ナトリウムが含まれている。これがちゃんぽん麺の味やコシ、香りにまで影響してくる。

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数少ない中華食材を売る店で見られる唐灰汁の文字

 

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唐灰汁はちゃんぽん麺だけではなく、様々な麺類、皿うどんの極細麺の生麺やラーメンの麺などにも使用される。細麺皿うどんと呼ばれる生麺を揚げた皿うどんでは、小さな気泡が爆ぜた様が麺に見られ、独特のザクザクという食感と噛めば噛むほど甘味が感じられる中からやはり唐灰汁の香りが漂ってくる。この土地ではラーメンの麺でも含有しているものがあり、独特の香りは各所で見られる。

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福壽のちゃんぽん 唐灰汁が香る

そのほか、あくまきとも呼ばれる、当地の粽にも含有しており、ちゃんぽんの臭いのする、砂糖ときな粉をまぶしたものをこの土地の人々はチマキとする。ちゃんぽんと同じ匂いがするのだが、砂糖がまぶされており甘いため、チマキを好まないものも居る。

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唐灰汁ちまき(あくまき)

長崎や佐賀あたりの菓子となると、また、興味深いことに、唐灰汁を菓子に使うのである。以下のような菓子で見られる。

  • 福建のよりより(麻花兒)
  • 茂木一○香の一口香
  • 鶴屋菓子舗(佐賀)のまるぼうろ

寺町のあたりにある萬順製菓でも「よりより」でも、唐灰汁を使用する。

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寺町通りの萬順 前に止まっているのは長崎伝統の精霊船

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丸ぼうろとしているが、膨張剤として唐灰汁が入っている場合もある

週に何度だろうか、大抵一度以上は唐灰汁入りの食品を摂ることになる。ちゃんぽんか皿うどんか、それとも他の麺料理か、この辺りは大抵が含まれており、唐灰汁の匂いを嫌う人には長崎県内で住むということは大変なことであろう。

排ガス

長崎市内では排ガスが多い。長崎市内では相変わらずで、市内を進んでいると真っ黒な排気ガスを撒き散らして進むバスに多く出くわす。あの香ばしいとは違う、毒々しい、油の不完全燃焼したような臭いがどこにいても漂ってくる街である。佐世保市内ではバスの置き換えが進んだこともあり、かつてのように黒煙を撒き散らしながら進む車両はあまり見なくなった。この排気ガスに含まれる細かな黒い粉は家の中や店の中まで侵入し、壁紙を煤けさせ、黒いザラザラした堆積物を生むのだ。関東にいた頃には関東ローム層から捲き揚げられた土がうっすらと灰色に堆積することはあったが、長崎市内では、お古のバスから出る排気ガスがあちこちで堆積している。市内を自転車で進行していても、肌や衣類に黒々と煤がついており、これが肺胞内に取り込まれているかと思うとゾッとするような黒さなのである。

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古いバスでも怪しげな機能が見られる

長崎市内では長崎バス、県営バスともに経営状態が思わしくないことと、保有車両数が多いことからなかなか置き換えが進まないため、現在でも黒煙を撒き散らす車両が多い。排ガス規制もこれらのバス会社に配慮しているためか、進んでおらず、またバリアフリーなどという概念も平和都市と言いながら、悲劇的に遅れているのがこの街である。

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県営バスの溜まり場
中央橋近辺でクラクションを鳴らしながら暴走するのが特徴である、当然赤信号は無視

水の臭い

長崎県内の都市である長崎市と佐世保市は大抵埋め立て地の上に成り立っている。島瀬、浜、船大工、島地などそれぞれのまちで海の名残の地名は多く残っている。大抵の川は整形され、暗渠で川と繋がっていたり、どこか水の街のようでもある。各所で海に接しており、磯の香りがするのである。ただし、長崎市内や佐世保市内の工業地や港に近いエリアとなると、これに機械油の匂いが混ざってくる。

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機械油と磯の香りの混ざる長崎らしいエリア、戸町

海に面した街が多く、夏の間、湿度はどこに行っても高い。荷物は野ざらしになったようになり段ボール箱は雨風に晒されたようにボロボロになり、中身が溢れでるようになる。5月ごろから雨が降りそうになる頃には、しっとりとした木々の香りを含んだ、雨の匂いがこれから降る雨を思わせる。大陸から海を越えてやってきた雨雲が久しぶりに陸地に当たるのを喜んでいるかのように、海沿いでも海の香りが一層引き立つ。

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色は悪く、あちこちからの合流で急に水かさを増す長崎の川

暗渠が多い長崎市では、気温が上がる5月後半から6月頃には嫌な匂いが各方面から漂ってくる。下水道普及率は94.3%(令和2年)と高いのであるが、すり鉢状の地形が災いするのか、排水溝からの下水の臭いは上がってくる。どこかで短絡しているものもあるらしく、浜町周辺の店舗においてはその時期特有の怪しい匂いがするところもある。また低地帯であるエリアがいくつかあり、長崎駅周辺、浜町から銅座にかけてのエリア、元船町エリアなどは降雨やあびきの頃になると水に浸かっている。

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ししときがわ
V字に切られた小川が街中を貫くが、これは大抵下水道の一部として作られたものだ

磯の匂い、雨の匂い、下水の匂い、水に関する匂いが充満する街である。

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皆が思い描く長崎の姿
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