佐世保駅高架下の人気ちゃんぽん食堂
1968年創業の50年を超える店舗で、かつてはやはり、佐世保駅前の地下街に店を構えていた。佐世保駅の高架化に伴う工事により、現在のろくてん通りに移転してきた。かつての地下街というと、お富さん、香蘭があったことは覚えており、どちらの店からも、豚骨の香りがたっぷりと流れてきており、床はアブラでツルツルという店舗であった。周りにはキツい色彩の並ぶ怪しげな土産物屋が立ち並び、喫茶店や床屋もあったはずである。寝台特急で関西や東京とを結ばれていた時代、線路は東京にも大阪にも続いていると、時刻表や駅の発着案内をみて実感できた頃、この地下街には旅情が漂っていたし、それを少しだけ楽しみに来た客もいた様に思う。
現在の店舗でも床はアブラでツルツルである。
長崎ちゃんぽんとわざわざ、原産地を正確に呼称し、その通りであることは珍しいようにも思われる。
香蘭のちゃんぽん
古き良き時代の食堂のちゃんぽんはこうだったというものである。長崎市内ではほとんど失われつつある、ちゃんぽんが息づいている。
具材はキャベツ、モヤシ、タマネギ、黒木耳、ニンジン、ハンペン、豚肉、ゲソ、エビなどである。牡蠣のシーズンであるはずだが、3月初旬では、店頭に九十九島の牡蠣は並んでいるものの、含まれてはいなかった。二度目に訪れた3月下旬には再度、牡蠣入りとなっていた。麺は黄色の、唐灰汁の効いているちゃんぽん麺である。スープはやや豚骨の効いているスープであるが、やはり甘い。スープはたまに灰汁を取りながら、開店中は炊き続けている様である。焼きが入っているが、キャベツの芯はしっかりと歯応えが残る程度の火の通りである。具材の歯触りも楽しめる上、スープに程よく滲み出る具材の味があり、ちゃんぽんらしさという点では、長崎市内でもあまりみられないものになりつつある。
器は唐子の踊る、三川内焼風の口の開いた平たいちゃんぽん碗である。
卵を乗せると50円増しというのは、ここにきて見られ、長崎市内でもあまりないような習慣である。
向かいの大善が、野菜炒めのせラーメンに対して、香蘭はきちんと具材を炒めた上に一緒に麺を煮込んでおり、伝統的なちゃんぽんの調理方法である、煮がみられる。これにより、麺にスープが馴染んでおり、唐灰汁がスープへ染み出してくることによるちゃんぽんらしさが増強されている。
向かいには以前紹介した大善があるのだが、こちらは野菜炒めのせちゃんぽんであり、ちゃんぽんの本来の調理法からは逸脱してると言える。
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店情報
朝10時30分と遅い朝食としても利用可能である。
- 住所:佐世保市三浦町21−28
- 電話番号:0956245803
- 営業時間:10:30 - 19:00
- 支払い:現金のみ